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◎。デッドエンドの思い出  よしもとばなな



文藝春秋 2003.7.26
 『デッドエンドの思い出』は、出会いのタイミングや状況の流れが人間の関係を規定していくさまを、5つの短編によってリアルに描いた短編集である。


   大学の同級生である男女の出会いと別れ、そして再会に、普遍的な人生の営みを重ねた「幽霊の家」。

会社を逆恨みする男によって毒を盛られたカレーを社員食堂で食べてしまった女性編集者の心の動きを描いた「おかあさーん!」。

小説家の「私」が子ども時代に実家のある街で体験した男の子とのせつなく甘美な時間を回想する「あったかくなんかない」。

そして、同じビルに勤める旅の雑誌を編集する男性への5年間の思いを実らせようとする女性の思いをつづった「ともちゃんの幸せ」

など、痛苦に満ちた人生の局面にそれぞれのやり方で向かい合う女性主人公の姿が肯定的にとらえられている。

登場人物の多くはネガティブな状況に置かれるが、そうした状況をやみくもに否定せず、ニュートラルにとらえ、「世界」との和解の可能性として提出するよしもとのスタンスは、本作において首尾一貫している。


そうした作品集全体の方向性は、よしもと自ら「これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好き」(あとがき)と語る、婚約者から別れを切り出された女性が陥ったデッドエンド(袋小路)的状況の中で掴む「最高の幸せ」の瞬間を描いた表題作「デッドエンドの思い出」に集約している。


人生への絶対的な肯定に満ちた短編集である。(榎本正樹)
ばななさんのあとがきが とても心に残る…

ー多分、出産をひかえて、過去のつらかったことを全部あわせて清算しようとしたのではないか?と思われる(人ごとのように分析すると)。
だから、なにひとつ自分の身に起きたことなんか書いていないのに、なぜか、これまで書いたもののなかでいちばん私小説的な小説ばかりです。
読み返すと、人生のいちばんつらかった時期のことがまざまざとよみがえってきます。 だからこそ、大切な本になりました。ー

そして、表題作「デッドエンドの思い出」について
ー略ー私はこの中の「デッドエンドの思い出」という小説が、これまで書いた自分の小説の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。ー

彼女の物事の捉え方や人としての生き方を とてもよく表している本だと感じました

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