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◎ 長いお別れ  中島京子



文藝春秋 2015.5.27
帰り道は忘れても、難読漢字はすらすらわかる。
妻の名前を言えなくても、顔を見れば、安心しきった顔をする――。

東家の大黒柱、東昇平はかつて区立中学の校長や公立図書館の館長をつとめたが、十年ほど前から認知症を患っている。長年連れ添った妻・曜子とふたり暮らし、娘が三人。孫もいる。

“少しずつ記憶をなくして、ゆっくりゆっくり遠ざかって行く”といわれる認知症。ある言葉が予想もつかない別の言葉と入れ替わってしまう、迷子になって遊園地へまよいこむ、入れ歯の頻繁な紛失と出現、記憶の混濁--日々起きる不測の事態に右往左往するひとつの家族の姿を通じて、終末のひとつの幸福が描き出される。著者独特のやわらかなユーモアが光る傑作連作集。
10年という長い月日をかけて 少しずつ少しずつ家族や周りの人々、そして自分自身に別れを告げてゆく… 認知症にかかった男性のお話
アメリカでは認知症の事を 別称 ” ロンググッバイ(長いお別れ)”と呼ぶそうです

だんだんと進む認知症の症状を 淡々と、でも暖かく描いている
なんとか自分で世話をしてやりたい妻、気になりつつも 自分たちの生活に追われてなかなか助けてやれない娘達
自分勝手なような、でも母親が元気で一緒に住んでいてくれてたら 私もこんな感じになるような気がする^^;

ただ 小説の中では曜子が文句も言わず、体調を崩すこともなくしっかりと世話しているけれど 実際には老老介護はもっと厳しいだろうし、老妻が一人で担うのはとても大変だと思う
こんな風に穏やかに長いお別れをするのは難しいんじゃないだろうか…

それと 全体的にとてもよかったと思うんだけど 最後のタカシとグラント校長の話が とってつけたようでちょっと興ざめ^^;
「ロンググッドバイ」を引き出すためにはしょうがないのかもしれないけれど もう少し自然なエピソードで出して欲しかった


親の世代の話とばかり思っていたが もうそろそろ、わが身の事として準備しないといけないなぁ


☆備忘録
 QOL…物理的な豊かさやサービスの量、個々の身辺自立だけでなく、精神面を含め
    た生活全体の豊かさと自己実現を含めた概念。身辺自立ができなくても他者
    の介助を利用して当事者の望む生活の質を確保すること。
 
 ADL…摂食・着脱衣・排泄・移動など,人間の基本的な日常生活動作。
    高齢者の介護の必要性の判定指標にも用いられる。日常生活動作能力。        
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コメント

No title

現実的にはこんなに甘くないと意識しながら、心持ち次第でこういう風なお別れならばと思わずにいられない作品でした。

No title

ほんとうにそう思いますね~
自分親や自身の事を重ね合わせ なんだか身に沁みる内容でした

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