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◎ きのうの空  志水辰夫

見上げた空は果てしなく高かった 都会での華やかな暮らし、想い続けている人の横顔が、ふわり浮かんだ
だが、この地にしがみつき、一日一日をひたすらに積み重ねなければ、生きてゆけなかった
わたしの帰りを家族が待っていた
親やきょうだいは、ときに疎ましくときには重く、ただ間違いなく、私をささえていた
 
名匠が自らを注ぎこみ、磨き続けた十色の珠玉  柴田錬三郎賞受賞作
おもしろかったのだけれど 戦後の時代が色濃く描かれていて 理解しきれないのが残念・・・と思っていたら
あとがきを読んでこの本の主旨を知り とても納得した
 
小学校(当時は国民学校)の3年生で終戦を迎えた著者
心の柔らかい素直な年頃に 物事の価値観が180度変わってしまうという経験をした事によるトラウマのようなものを抱えてらして そういう思いに決着をつけるために書かれた本という事
 
改めて読み返してみると 10編の短編は時代に添って描かれていて 主人公の年齢は時代を経ると供に上がっている
自分の歩いてきた道をさまざまな主人公に仮託し、市井の人間の戦後史を書いてみられたそうです
 
今はどんどんなくなってきている 重くのしかかる家族のしがらみと それゆえの家族の強い結びつき
そんなしがらみの中 自分の思うようには生きることの出来ないあせりと 家族の中の自分の役割に満たされている思い
 
志水氏は この作品を“同じ世代の人たちに捧げる”と書いてらっしゃるが ほんとうに この年代にこの時代を過ごしてこられた方には とても心に響く作品だと思います
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