記事一覧

☆ 茗荷谷の猫 木内昇

茗荷谷の猫 木内昇
平凡社 (2008/9/6)

新種の桜造りに心傾ける植木職人「染井の桜」、世にも稀なる効能を持つ黒焼を生み出さんとする若者の呻吟「黒焼道話」、茗荷谷の一軒家で絵を描きあぐねる文枝。庭の物置には猫の親子が棲みついた摩訶不思議な表題作「茗荷谷の猫」、内田百閒の魔力に呑まれそうになる地方出身者「仲之町の大入道」、乱歩に惹かれ、世間から逃れ続ける高等遊民「隠れる」、開戦前の浅草で新しい映画を夢みる青年「庄助さん」、復員兵と戦争孤児の交流「ぽけっとの、深く」、田舎から来た大好きだった母の老いとやぼったさに苛立つ娘「てのひら」、洋風の家を眩しく眺めるブルーカラーの男「スペインタイルの家」。

幕末の江戸から昭和の東京を舞台に、百年の時を超えて、名もなき9人の夢や挫折が交錯し、廻り合う。切なくも不思議な連作物語集。

 

久々の大ヒット!手放しで『大好き』と言える作品です
でもでも 難しい… 一作目『染井の桜』を読み終わって すでに『この本大好き!!!』と思ったにもかかわらず 何が言いたいのか 内容はいまひとつつかめない 『黒焼道話』はもっと解らない^^;
にも拘らず 一話読み終えるごとにため息が出るほど見事だと思う

幕末から昭和にかけて 様々な時代の様々な人々(これが結構個性的な人達なのだけれど…) の姿が描かれている 変に創ることなく ただあるがままに置かれている感じが心地いい
後半になると 短編だと思われていた物語がほんの少しの関りを持ってくる この絡め方もお見事! ある部分は前出の物語を補うように、ある部分は仄かに匂わす程度に 不可解な物語をもっと補ってくれるのかと思えばそうでもなく… 
一番見事だったのは『ぼけっとの、深く』でさりげなく登場する一枚の紙きれ 別の物語に織り込まれた些細な一節で ぼんやりとしていた一作目の『染井の桜』を鮮やかに完結させる

好きなのは やっぱり『茗荷谷の猫』 『庄助さん』で描かれる部分も含めて 人生ってこんなものなんだなぁ と思えた 知らぬまま死んでいくのもそれでいいのですよね… 
興味深かったのは『隠れる』 これはブラックコメディになるのかな 決して心地よいお話ではないはずなのに こんなに穏やかに笑える物語になるんですね

人の心の機微を丁寧にすくいあげた 素晴らしい作品だと思います



スポンサーサイト



コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

にゃ~ご

Author:にゃ~ご
読んだ本を忘れないよう 備忘録^^; TOP写真はパリの本屋さんです♪

管理メニュー

カテゴリ

ブロとも申請フォーム